土地
スペインのセビージャに指導者の勉強で住んでいた頃、知り合いに誘われ、ポルトガルとの県境にある小さな村に連れていってもらったことがあった。
その村では生ハムの有名なお店があった。
お店を訪れた時、切り盛りしている若い主人に何となく尋ねてみた。
「マドリやバルセロナのような都会に住みたいと思ったことがないですか?」
「この村での生活が最高だよ。都会は旅行で行くのは良いが、住むなら家族や友達がいるこの村が落ち着くし、住みやすいよ。」
と答えた。
同じような質問をセビージャ郊外にあるカマスという町のクラブでコーチをしている人にも尋ねたが、ジョークも交えて「スペインの首都はカマスだよ」なんてことを笑いながら言っていた。
毎日フットボールと、バル(飲み屋とカフェと食事処が合わさったお店)でする近所の人や友達とのおしゃべりばかりの毎日に見えるスペイン人の生活だが、現地で出会った地方の人たちは、みんな自分の住んでいる町や村に誇りを感じている。
それはおそらく彼らの大人たちが我が町の生活を謳歌し、その姿を幼い頃から見ているからだろう。
魚沼の土地にも魚沼地域や雪国に愛着や誇りを感じて生きている人たちがいる。同じように自分たちの周りいる大人たちの姿に、知らず知らずのうち影響を受けてきたのだと思う。
私自身、魚沼地域に魅せられ、この土地に縁も含め、移り住んできた。
7年という歳月でサッカーはもちろん、仕事や生活で魚沼で長く生きてきた年配の方や地域と関わってきたことで、魚沼の生活や文化も自分なりに発見してきた。
生まれ育った鎌倉や湘南地域は大好きだが、この雪国という独特の文化が育まれてきた魚沼はサッカー生活でも何かが起こりそうな予感がする。
毎年、繰り返し米作りをしている米農家たちのように、日々、模索をしながら、この土地のサッカー文化を豊かにしていきたい。
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